心配性

 パートナー氏は異常なほどの心配性である。
 そのために呆れさせられることも少なくないのだが、今日はこんなことがあった。

 数日前、もみあげのちょっと上あたりが痒くて仕方がないので爪で引っ掻いたところわずかに出血。
 軽い気持ちでパートナー氏にそのことを告げると、すぐに「診察」が始まった。
 で、患部を見たパートナー氏。たちまち、
「これはすぐに皮膚科に行ってもらわなければならない」
と、高らかに宣言。
曰く、
「なんか変な形のホクロができている。これは皮膚癌の危険性が高い。」
 ……って、いきなり癌告知ですかい?
「だって、皮膚科の壁に掲示されていた皮膚癌の写真にそっくりだもん。」

 翌日にでも病院に行かせたそうな勢いだったパートナー氏を賺して日延べしたが、休日である今日はさすがに観念せざるを得なくなった。

 で、朝一番にかかりつけの皮膚科に連行されて診察してもらう。
 案の定、「あー、これはどうとういうこのないものですね。いわば老化でできるものです」と一笑に付された。
 ついでに、「これで奥さんも安心されたでしょ?」と、なぜか一緒に診察室に入り込んでいたパートナー氏のほうにも笑顔を向ける。
 なぜだかパートナー氏も爪の血豆(?)を診察してもらった後、待合に戻って待つことしばし。

 呼び出されて診察料を払おうとすると、請求されたのはたったの370円。
 私の初診料はどうなってんの?
 不審げな顔をした私に向かい、事務の女性も笑顔で、ひとこと。
「奥様に安心していただけたということで…。」
 えーっ!?
 私の診察はタダってことですか?
 もう一人の女性――パートナー氏曰く、日頃は受付のところになんて出てくることのない人だとか…って、あんた、なんでそんなにこの医者の内情に詳しいんだ?――もニコニコしながらこっちを見ている。

 おかしいやら恥ずかしいやら、ふたりして早々に退散。
 医院の外へ出てから、二人で顔を見合わせて苦笑いするしかなかった。

 パートナー氏よ、いい加減に私をすぐに重病患者呼ばわりするのはやめてくれまいか。
 こっちもいささか疲れるんだよおぉぉ。

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