手塚治虫展

 5月4日、5日と東京に出かけていた。
 目的は、この4月中旬から江戸東京博物館で開催されている「手塚治虫展 未来へのメッセージ」を見に行くことだった。
 (手塚の塚という漢字に関してはこだわりがある人間なのだが、「塚」が環境依存文字であるためにやむなく妥協している。)

 ゴールデンウィークの最中に自動車で出かけようという計画自体なかなかに無謀なものに思えたけれど、行きは6時間ちょっとで両国に到着できた。途中で事故による渋滞を経てのこの時間は順調なほうだっただろう。


 宿泊予定のホテルに車を置いて昼食を済ませた後、早速江戸東京博物館に出向いた。
 驚いたのは人出の多さ。
 順路通りに見ていこうとするとなかなか前に進まない状態。
 係員は盛んに「ゆっくり歩きながらの鑑賞」を呼びかけていたが、多数展示されていた生原稿の全てに目を通したくなるのは人情というもの。
 こちらもまったりした気分で鑑賞することにした。
 手塚の生原稿というのはかなり見ているつもりの私でも、やはりその描線の美しさには目を奪われることがしばしばだった。
 印刷されたものとは味わいが全く違う。

 いちばん印象的だったのは、入ってすぐのところに展示されていた「第11回コミック・コンベンション」ポスター用の直筆原稿だった。
 カタログには1980年の7月頃に描かれたものとの解説が載せてあった。
 このポスターを描いた1か月後ぐらいの時期に手塚は名古屋に来ている。
 こんなことを断言できるのにはわけがある。
 こういう体験をしているからだ。
 ポスターを前に「あれはもう、30年近くも前のことなのだ」と、ついつい感慨に浸ってしまった。

 あの、夢のような体験から10年も経たないうちに手塚はこの世を去った。

 今回の手塚治虫展は「生誕80周年記念」と銘打たれている。
 だが、私にとってはどうしても「没後20年」という意味合いのほうがはるかに重いのである。

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