つぶやき岩の秘密

 病院での待ち時間のうちに、本が1冊読めてしまいました。
 予約もせずに出かけた総合病院。
 相当待たされるだろうと覚悟して文庫本を用意していって正解でした。

 読んだのは、新田次郎著『つぶやき岩の秘密』。
 この題名に反応できるのは、よほどの新田次郎ファンかNHK少年ドラマシリーズに特別な思い入れのある世代の方だろうと思います。
 私は後者の端くれ。

 少年ドラマシリーズ中でも異色のミステリードラマで、現在でも高い評価を受けている作品です。
 私にとっては石川セリに出会った作品でもありました。
 あまりにも鮮烈な印象を与えてくれたこのドラマのビデオが1989年に発売された時、迷うことなく購入したものです。
 

 さて、このドラマの原作者が新田次郎であることは、初めてテレビで見た当時から認識していました。
 しかし、原作を読む機会は今日までありませんでした。
 原作はドラマ放送当時に「新潮少年文庫」というハードカバーのシリーズの1冊として発行されていたとのことですが、長く絶版状態だったのです。
 この6月に新潮文庫に収録されて、ようやく読むチャンスが与えられたという次第。

 少年向けに書かれており、200ページそこそこの中編。
 読むのはたやすそうな気がしつつページを繰り始めた私でしたが、その考えは良い意味で裏切られました。

 なんとも懐かしく、切なく、愛おしい。

 これ以上の感想を書くことができないほど、心に残る作品でした。
 読んでいる間、頭の中で石川セリの「遠い海の記憶」がリピート再生され続けていたのはもちろんのことです。(Amazonのユーザーレビューで全く同じことを書いていらっしゃる方があって、嬉しくなりました。)
 懐古趣味のフィルターがかかってしまっていたことを否定はしません。
 ただ、それだけの作品でないことも間違いないと思います。


 読了後、久しぶりにドラマのビデオを見たくてたまらなくなりました。
 そればかりか、もう10年も前にDVD化されていたことを今更知って、Amazonで購入してしまったことも白状しておきます。

つぶやき岩の秘密 (新潮文庫)
新潮社
2012-05-28
新田 次郎
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